なみだ涙ナミダ
へぇ、と興味深そうに頷く鈴木。
「じゃあ、いつもはコンタクトか。高杉ってメガネも似合うのな」
サラリと恥ずかしいことを言った鈴木を睨んだ。なぜなら、自分でも嫌なくらい体温が上がったのが分かったから。
「当たり前でしょ。バカじゃないの?」
「なっ...!バカってなんだよバカって!」
「バカにバカって言って何が悪いのよ!あー、そっか。バカだから自分がバカなことにすら気付いてないのか、かーわーいーそー」
また始まったか、と言わんばかりのため息が春菜と男性陣から聞こえた。
あぁ、楽しい。
こうしてケンカしてるのにも関わらず、緩みそうになる口元をなんとかしてほしい。
あぁ、楽しみだ。
修学旅行が楽しみだ。
きっと、鈴木と話せる時間が少し長くなれる。
ねぇ、鈴木。
私と一緒にたくさん口喧嘩をしよう。
それで、一緒にのっさんのCDを聞こうよ。
この時私は、まだ、自分の気持ちの変化に全く気付いていなかった。