なみだ涙ナミダ




新幹線でも同じ席。仲良くなりたいな、なんて思ったり。

「ねぇ、まっつー。飴持ってない?」

「あー、ないわ」

そんな会話を聞き、私は喜んだ。

なぜなら、私はこんなこともあるかと色んな飴やガム、スナック菓子を持ってきたのだ。

私はさっそく飴の入ったポーチを取り出し、加藤さんに渡した。

「えっと...、私も食べようと思って丁度出したから、たっ、食べるなら、たべ...れば」

うわ、絶対今顔赤いって。
しかも言葉めっちゃ噛んだって!

ぽかん、と口を開けた二人は、一瞬顔を見合わせてクスッと笑った。

その様子に驚いていたら、私の方を向きまた笑った。


「私、高杉さんに今怒られるのかと思った!」

加藤さんはお腹に手を当て、笑いながら言った。

「怒る?私が?」

そういえば二人して頷いた。

「だって、高杉さんって話しかけるといつも怒ってるし」

おぅ、いつもの私の態度で良からぬ誤解が広まっているようだ。
私は誤解を解こうと口を開く。

「ちっ、違う!えっと、だから、私、人と話すの慣れてなくて、話しかけられるとテンパっちゃって...。だからっ、だから怒ってるわけじゃ...」

そこまで言うとさらに二人して、それも大声で笑った。

「なんだーっ、ただのツンデレじゃん!」

「高杉さん可愛いーっ!」

「見てよ愛!高杉さんのポーチの中、飴めっちゃ種類あるっ」

「梅まであるし!」


笑いながらもお気に召してくれたようだ。
それも飴を買い集めてくれた春菜のおかげだ。



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