なみだ涙ナミダ
***
俺は聞いてはいけないものを聞いてしまった。
それは、俺がA組に紛れて露天風呂に浸かっていたときの話だ。
隣で女子が話してるなぁ、と軽く流していたが。
「昨日も気になってたんだけど、メグミンおっぱいでかいよね」
メグミン=高杉ということを今日、友だちから聞いていたので俺は精一杯話に意識を集中させた。
それは露天風呂にきていたA組男子も同じだった。
「んー、Dはあるね?」
Dはってことは、それ以上かもしれないのかよ。
ゴクリと生唾を飲む。
大きな水の音が聞こえたと思った「ひゃんっ」という可愛らしい高杉の声が聞こえた。
高杉と仲良くなったっていう、たしか中松と加藤ってやつが高杉の胸を揉んでいる、的なシチュエーションになっているようだ。
「やんっ、ちょっ舐めるのはダメだってばっ...んっ」
ちょっとした喘ぎ声が俺たちのむさ苦しい空間に降り注ぐ。
「ちょ、俺、すげぇ興奮してきてんだけど」
「俺も」
そんな声が聞こえるが、まあ仕方ないだろう。こんなエロい声を聞いちゃったら。
すると先に上がるから、と興奮の源の高杉がいなくなってしまい、一気に冷めた。