なみだ涙ナミダ
どきドキ肝試し
19時に広場集合で、人数が揃い次第肝試し開催予定。
正直、このまま人数揃わなくて中止になってしまえばいいのに。
「恵?顔色悪いけど大丈夫?」
心配そうに私を見る桜ちゃんに大丈夫、と笑顔を見せる。
暗くて怖いなんて言えるかボケ!
1学年はE組まで存在し、全クラス合わせてのクジ引きにより一緒に回るペアが決まる。
ルールとしては、よくありがちなもので、林を抜けるとある神社に紙とペンが置いてあり、そこに自分たちの名前を書いて任務完了という感じだ。
知らない人と桜ちゃんか愛ちゃんと当たらなかったら体調不良ってことにして、休もう。
「ペアが決まったから順番にろうそく取りにこーい」
先生の声に皆耳を集中させる。
どんどんペアが決まって、出発していくなか、やっと私が呼ばれた。
「A組高杉、B組鈴木!」
鈴木と、かぁ。
そっか、そっか。
「この私となんだから喜びなさい鈴木!」
「ワー、ウレシイナー」
「棒読みってこんなにもムカつくのね。もう死んでいいわよ」
そんなことを言っていると、先生に早く行けと急かされた。
林に入れば怪しげなカラスの声。少しだけ手が震える。
ガサガサっ、と草が揺れた。
「ぅきゃぁぁあっっ」
耳を塞ぎしゃがみ込む私。
「何?お前怖いの?」
ニヤ、とやらしい顔で笑う鈴木。
「は!?こっ、怖いものなんて私にはないものっ」
ふーん、と一言何事もなかったかのようにろうそくを持ち、サクサクと歩を進める鈴木。