なみだ涙ナミダ




***


高杉恵。

本当に意味が分からない。

「ジュンジュンあの我儘姫様に嫌われてんの?」

俺の友人、木村マサヤが聞いてきた。
そんな質問はあっさり否定したいが、否定できないのが現実で。

あののっさんボーイへの食いつき方知らないはずないだろ。めちゃくちゃ目輝いてたじゃん。

のっさんボーイってのは、のっさんっていうキャラをシンボルとして歌う少しマイナーな歌手。俺はのっさんボーイのファンだ。

なんて話は置いておいて、俺が1のAに来たのには理由がある。

理由っていうのは、もちろん昨日のことだ。
頬をピンクに染めながら散々俺に言ってくれたくせに、猛ダッシュで逃げやがった。つまりは、あいつにクレームを言いに来たのだが、またもや逃げられた。

「マサヤくーん...。俺、あいつ泣かせに行ってきまーす」

まぁ、女泣かせる趣味はないから泣かせないけど。代わりに俺に向かって謝らせる。

俺は高杉が走って行った方向に全速力で走り出した。
後ろから呆れたような声でいってらっしゃい、というマサヤの声が聞こえた。




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