二人の距離。
眠くなるような校長先生の長い挨拶から始まり、そしてついに女子お待ちかねであろう『新入生代表の挨拶』が来た。
『それでは…新入生代表、橘陽介くんお願いします。』
「はい。」
橘くんが席を立つと、先輩の中からも黄色い歓声が聞こえる。
そんな間を通り抜けて、舞台へと立った。
「新入生代表、橘陽介です。こうやって無事、莱条高校に入れ安心しています。分からないことだらけですが、先輩方に助けてもらいながら頑張りたいと思います。
そして、話は逸れますが…ここの高校に入ったのには理由があります。」
下を向きながら喋っていた顔を上に上げたから、一度収まった黄色い歓声がまた復活した。