二人の距離。
「…はぁっ……。もう、何なんだろう…。」
きっと、橘くんはあたしのことからかって楽しんでるだけ。
なのに、分かってるんだけど…。
――ガラガラッ
ドアが開く音がして、そっちをベッドのカーテンから覗いて見ると…
「え、何かいる。」
「ちょっ、美佐怖いこと言わないでよ!!」
「…美佐と加奈子ちゃん?」
「なぁーんだ、紗枝かぁ〜。びっくりさせないでよ〜。」
「うん、ごめんごめん。」
二人は、あたしのスクバと荷物を持って来てくれていた。
「荷物、わざわざ持って来てくれたんだね。ありがとう。」
「いえいえ〜、ってか保健室の先生は?」
美佐がさっきまで橘くんが座っていた椅子に座りながら、周りを見渡す。
あたしが座っているベッドの横にいる加奈子ちゃんも、つられるようにキョロキョロ。
「確かにいないね。」
あたしがそう答えると、加奈子ちゃんは目を見開く。
「え、じゃあ橘くんと二人きりだったわけ?!」
「…う、うん。」
「キャーッ!!!」
加奈子ちゃんは黄色い歓声のような悲鳴をあげて、顔を両手で隠した。