二人の距離。



いや、何か気絶しながら聞こえてた気もするような…。


「はぁぁぁ〜…。」


もう、橘くんのことが好きな女子からどういう目が向けられるか分かって思いっ切りため息をつく。


「そんな落ち込まないで、シャキッとしなきゃ。
あ、そういえばさっき紗枝迎えに行く時に橘くんにすれ違ったよ。」

「…そうなんだ。」


何だか来てくれて嬉しいのに、テンションが上がらないまま低いトーンで言葉を返す。


「うんうん、すれ違った!!何かね『今起きたところだから、後はよろしく』とか言ってたよね〜。
よろしく、ってまるで彼「ねぇねぇ、紗枝って男子苦手なの?」

「もーっ、何で話してる途中で入って来るの〜?」

「変なこと言いそうだったからじゃん!!
あ、で、どうなの?」


…もう、入学して早々バレちゃったなぁ……。


「うん、苦手かな…。」



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