Believe~君が教えてくれたこと~
1章 彼との出会い
木枯らしが吹く、10月中旬
「さむっ・・」コートを着て家を出た。
私は、佐々木茉莉(ささきまり) 高校1年生
5歳くらいの時に両親に捨てられた。だから、施設で生活している。
鞄から、I podを取り出し曲を聴きながら学校に行く。これが私の日課。
教室についてもまだ、誰もいなかった。I podをポッケにしまう。
そしてぼーっとしながら、時間をつぶす。
だんだんと人が集まってきた。そろそろ、ぼーとするのも飽きて、することもないし私は机に伏せて寝ることにした。
「・・・さん。佐々木さん!おはよう」
(ゲッ。数学の小林じゃん。サイヤクな目覚め・・。)「おはようございます。」
「佐々木さん、余裕みたいだから問3やってくれる?問2の応用だけど・・・。」
(嫌味ババア・・・。やってやるよ。こんな問題!)
チョークを渡され、解き始める。 カリカリカリ・・・・。
チョークの粉をはらい、席に着く。
「えっと。・・・・か、完璧な回答です。さすが佐々木さんですね。授業態度がもう少しよければもっといいんですけどね。」
「・・・・・・・。これからは、気をつけます。」
チャイムが鳴り、授業が終わった。みんなが動き初め騒がしくなる。
(屋上にでも行こうかな。)
私は、唯一の好きな場所、屋上に行くことにした。
-----ギィ------少し重い扉を開ける。
「やっぱり、さむっ・・」
ポッケからI podを出しまた曲を聴き始めた。フェンスにもたれかかりぼーっとし時間をつぶす。
----ギィ-------
(誰か来た。気まずいしどうしよう。帰ろうかな。)
「君、何してるの?授業さぼり?」
振り返ると、背が高くて黒い髪の男子が立っていた。
「別に。てっか、あんた誰?」
「あっ、僕は、1年A組山下舜樹だよ。君は?」
「1年C組佐々木茉莉。あんたが、みんなが言う王子?」
(近くで見るとやっぱ王子といわれるだけあってまあまあかっこいいじゃん)
「君まで王子っていうの?勘弁してよ・・・。」
「だって、あんた王子なんでしょ?」
「あんたじゃなくて名前で読んでよ。舜樹でいいから。」
「舜樹?。・・・・・。私もう行くわ。」
「・・・。ま、茉莉!また、来たら居る?また、話したいし・・・。」
「・・・・・・・・・。」
扉を開け早歩きで教室に戻る。山下舜樹。
変なヤツ。私なんかに話しかけてくるなんて。
でも、なんか舜樹と私は違う。
教室に着くとチャイムが鳴り、また授業が始まった。