私、家出しました!
「あれ?お父さんは?」
「父はいません。」
彼は複雑そうな顔をした。
まずい、聞いちゃだめだったかも。
「そういえば、まだ
名前聞いてなかったね。
なんていうの?」
「光です。高橋光。」
「ひかる?」
なんか懐かしい名前だな。
だれの名前だったっけ?
「私はユリ。花の百合って
漢字なんだ。」
「ユリ!?」
彼は突然こっちをむいた。
「運転中だよ。」
「ごめん。知り合いが同じ
名前だから。」
「そうか。この名前よく
いるもんね。」
そこからしばらく沈黙が
続いた。
「ねぇー、ひかる。」
なんか馴れ馴れしいけど
くんつけるのもめんどくさいし。
「なんですか?」