【完】Secret Story ‐笠井 龍輝‐


あちこちから上がる歓声と拍手。
それを聞きながら顔を上げると、空には鮮やかな大きな花が次々と咲いていた。


「………」


…俺は、なんで一人でここに居るんだろう。


「…こんなことなら、初めから二人で居りゃあ良かったかな」


虚しさを感じながら、苦笑気味に笑う。

と、その時。




「あれ、龍輝じゃん」


焼きそばのパックを持つ男が、俺を見て笑い、近づいてくる。


「お前が一人で居るなんて珍しいなぁ」

「…山田(ヤマダ)」


それは、同じクラスの山田だった。

大雅といつも女の話をしてハァハァ言ってる、ちょっと変わった男…と言うか、変態野郎だ。
通称、山ちゃん。




「大雅ならさっき、お前の彼女を連れて向こうに行ったぞ?」


……え?

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