【完】Secret Story ‐笠井 龍輝‐


……。


クレープ屋を通りすぎ、その更に奥にあるかき氷屋も通りすぎる。

その先にある芝生エリアにはたくさんの人が座っていて、空を見上げてる。


たくさんの人の後ろ姿に目を凝らし、視界に入るものすべての中から大雅と真由を探す。

…だけど、正直なところ、真由の後ろ姿はほとんど記憶に無い。

アイツはいつも俺の横か後ろだから、アイツ自身の後ろ姿はほとんど知らない。
それに、今日の服装もわかんねーし…。

浴衣か私服かで、人はずいぶんと変わる。


だから、探すなら大雅だ。


アイツとは中学ん時から一緒だし、ずっと一緒に居るから服装の感じも知ってる。
浴衣とかは着ない人間だし、絶対私服で来ている。

そんな妙な勘を働かせながら、大雅に似た服を着ている男を中心に見ていく。




「…これでアイツが浴衣を着てたら、ジ・エンドだな」


と、薄ら笑いを浮かべた時だった。

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