【完】Secret Story ‐笠井 龍輝‐
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その後。
また眠ってしまった真由を見つめつつ、そっとベッドを抜け出す。
リビングへと行き、その辺に落ちていたチラシの裏にサラサラと文字を並べる。
それから天井を見つめて…、ふっと息を吐いたあと、この部屋の鍵を一緒に置く。
本当はもう少しあとになってから渡そうと思っていたけど、真由を部屋に泊めた今日、渡すべきなんだと思う。
つーか、正確に言っちまえば…アイツが起きた時にどんな顔すりゃいいのかわかんないから、鍵を置いて逃げる。んだよな…。
多分あとから真由にブーブー言われるんだろうけど。
でも、やっぱ恥ずかしいじゃん。
だから…、今はこれでいい。
真由に合鍵を渡して、そして「いつでも来ていい」という意思を見せる。
それでいい。
「…またな、真由」
ベッドで眠る真由に小さな笑みを見せ、そっと静かにドアを閉めた。