【完】Secret Story ‐笠井 龍輝‐
それからポケットにしまっていた携帯を取り出し、空を見上げる。
…横山家に来たことを朔也にメールしよう。と思ったけれど、朔也よりも先に真由にメールしといた方がいいかな?
…でもなんて言おう?
【 横山家に監禁されそうだけど頑張る 】って、んなこと言ったってわかんねぇよなぁー…。
どうすっかな。
【 しばらく実家に帰ります 】…って、俺は主婦か?
んー…。
「龍輝ー、何グズグズしてんのよー」
「あ? あぁすぐ入る」
……結局言葉は見つからず、そのまま携帯を閉じる。
けど、すぐにまた携帯を開き、電源をオフにした。
……美奈との話し合いは、きっと凄く疲れると思う。
俺の集中力が切れればそこで負けだし、何よりも隙を見せたくない。
だから携帯の電源を切り、闘いに備えることにした。
「…っし」
暗くなった画面に映った自分の顔を見つめ、更に気を引き締める。
…スゥッと息を吸い、大きく吐き出す。
「お邪魔しまーす」
そう言って、勢いよくドアを開いた。