【完】Secret Story ‐笠井 龍輝‐
「龍輝? なに、どうした?」
黙ったままだった俺を見て、朔也が首を傾げる。
「…んや、別に?」
「そう? ならいいけど」
「おー。メシ食おうぜメシー」
いつもと同じを意識しながら笑い、また朔也を見る。
……俺は、コイツを苦しめてる。
だけどそれでも俺は、真由と居たい。
だからやめよう。
苦しめてるとか、辛いとか…、そういう考えを持つのはやめよう。
俺たちと居る“今”を選んだのはアイツ自身。
そのアイツに俺が何か言えば、“今”を選んだアイツの立場が無くなる。
だから俺は、何も言わず“今”を生きる。
今までそうしてきたように、これからもそうやって生きていく。
俺に出来るのは、ソレしか無い。