【完】Secret Story ‐笠井 龍輝‐


それは、呆れに似た声だった。
その顔も呆れたように笑っている。


「何かあっても“俺は大丈夫”“心配ないよ”って強がって、一人で全部片付けちゃおうとする。
もっと私を頼りなさいよ。 血の繋がりが無くたって、アンタは私の息子なんだから。

…て言うかね、アンタは多分、出てくるお腹を間違ったのよ。
アンタと初めて会った時“この子私の子だ”って本気で思った。
アンタのお母さんがアンタを引き取らなかったのは多分、“自分の子”って感じがしなかったからじゃない?
って言ったらさすがに酷いか。
お腹を痛めて産んだのは、間違いなくあの人だもんね。

でも、多分アンタは私の子なんだよ。
きっとね、朔也くんたちや真由ちゃんに会うために早く生まれたの。
だから私と大和さんが出会う前に、アンタはこの世に出てきちゃったんだと思う」

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