【完】Secret Story ‐笠井 龍輝‐


…俺は、美奈の子…。


「…まぁ、そんなの証明なんて出来ないけどね。
でも私はずっとそう思って過ごしてきたし、これからも私はアンタの“親”として生きていくよ」


そう言った美奈は、笑っていた。
偽りの無い、真っ直ぐな言葉と笑顔…。

それを見つめながら、俺も小さく小さく微笑んだ。




「あ、今度“本当の親じゃない”とか言ったらぶん殴るからね?
さっきはねぇ、ほんっと悲しくて泣いちゃうところだったんだから!!」

「…うん、ごめん。もう言わないよ」


「…あのね、龍輝。 私、アンタのこと本当に心配なんだ。
だからね、“しつこい”って言われるかもしれないけど、せめて夏休みくらいはここに居てもらいたい。

アンタの顔見て色々な話をして、数日間だけでもいいから家族で過ごしたいって思ってる」

「…うん」


……数日間だけでもいいから、か…。




「…美奈、さっきは“明日帰る”って言ったけど…もう少し居てもいい?」

「うん、もちろん」


「…邪魔になんない?」

「全然。て言うか、哲の面倒見てくれる人が居て楽チンになるかもね?」


あははっ、と楽しそうに笑う美奈。
それを見つつ、俺もまた微笑んだ。




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