【完】Secret Story ‐笠井 龍輝‐
――……。
……。
その後の数日間、俺は美奈たちと過ごした。
みんなで買い物へ出かけたり、美奈に代わって食事の準備をしたり、直人さんと昔話をしながら酒を飲んだり…。
本当に楽しい数日間だった。
その中で、美奈と何度も話して決めたのは、「夏休みの数日間は家族で過ごす」ということだった。
それ以外の日…、例えば正月などの行事の時は、「電話をくれればいい」ということになった。
行事ごとは、美奈の両親や直人さんの両親が来たりで、俺も向こうも良い気分にはならないだろうから。との配慮。
だから、夏休み中に俺の都合と美奈たちの都合が合う時は一緒に過ごす。ということにした。
美奈は「アンタに帰ってくる気があるなら、いつでも帰ってきていいからね!!」と笑って、豪快に背中を叩いてきた。
…多分美奈は、俺が家族と暮らすことを今でも望んでいる。
口では「夏休みだけでいい」って言ってるけど、でも本当は、「ずっとみんなで」って思ってるんだと思う。
……その想いに応えられなくてごめん。
でも、想ってくれてありがとう。
あんたは本当に、俺の大事な大事な母親だよ。
そう思いながら、美奈の作ったおかずをつまみながら酒を飲んだ。