【完】Secret Story ‐笠井 龍輝‐
……。
その後、俺たちは何事も無かったかのように笑い合い、昼食を終える。
健吾と優は「二人で回るから」と離れていき、
大雅は朔也を連れてどこかへと行ってしまった。
…大雅。
アイツも真由が好き。だと思う。
俺には何も言わない…と言うか、誰にも何も言わないけれど、それでも見ていればなんとなくわかる。
女と見りゃあ見境無く声をかけていた“あの”大雅が、真由を見る時の目は違う。
そりゃあ、「俺と付き合おー?」とかいつもの軽いノリで言ったりはするけれど。
でも、やっぱり他の女(ヤツ)とは扱いが違うんだよな。
…真由は何も知らずに笑ってるけど、俺は大雅の想いを知ってる。
知っててもアイツに何も言わないのは、アイツが何も言ってこないからだ。
アイツがアイツの意思で黙ってることを、俺がほじくり返していいはずがない。
だから朔也に対するものと同じで…、俺は俺の“今”を行くしかない。
アイツの想いを知りながらも、俺は真由を想って生きていく。
それだけだ。