【完】Secret Story ‐笠井 龍輝‐
……朔也は本当に真由が好きで、大雅も真由のことを想ってる。
俺、コイツらの想いを踏みにじってばっかりだな…。
「…殴られなきゃいけないのは、俺の方かもな」
「え?」
「…んや、なんでもない」
ふっと息を吐き、また壁に寄りかかって座る。
「真由には明日会う。
大雅、俺と朔也で公園に行くから、そこに真由を連れてきて」
「…“真由ちゃんを傷つけた”って言ったのに、俺にそういうこと頼む?」
「名誉挽回、汚名返上」
……って、人のこと言えるような立場じゃないけどな。
「…まぁ龍輝がそう言うなら俺が連れてくるけど。
で、どうすんの? 沢良木 涼太のことぶん殴る?」
「…さぁな。 明日になんなきゃわかんねーよ」
…まぁ多分、殴ったりはしないだろうな。
そりゃあアイツをぶん殴りたいとは思うけど、でも、殴ったって真由は喜ばない。
俺が喧嘩するところなんて、真由に見せる必要すらない。
だから話し合いで解決したいけど…、沢良木 涼太は話し合いで引くか?
て言うか、アイツはマジで真由が好きなのかな?
…本気で好きだから、キスまでしたんだよな。
本気の奴の邪魔を、俺がしていいのか?
…いや、俺と真由の邪魔してんのはアイツか?
でも、本気だから邪魔とは違うか? それなら俺だって本気だし、朔也や大雅だって本気だよな…。
…やっべ、頭ん中グチャグチャだ。
結局俺はどうしたいんだ?
真由は、俺を想ってくれてるんだよな?
なら俺は、真由の隣に居ていいんだよな?
でも朔也や大雅の気持ちを踏みにじったままでいいのか?
それに、沢良木 涼太だって本気なんだよな?
アイツらの想い、俺はどう受け止めればいいんだ?
「………」
…さっぱりわからん。