【完】Secret Story ‐笠井 龍輝‐
真っ直ぐな、瞳。
…俺が分かりやすい人間なのか、コイツが鋭い人間なのかはわかんねぇけど。
でもやっぱり朔也とは、なんも言わなくても通じてんだな。
「お前、俺のストーカーか?」
苦笑気味に笑ってみせると、朔也は少し呆れた顔した。
「しばらく会ってなかった横山さんのとこに行くんだから、何かしら理由があると思っただけだよ。
て言うか、理由無しに帰るなんて龍輝は絶対しないだろ」
「ん、確かにな」
「…で、ここを出ていくの?」
「んや、今まで通り自由気ままに生きてくよ。
あ、でも夏休みの間は向こうに行ってる。 向こうの人と過ごす時間、やっぱり必要かなと思ってさ」
「そっか」
朔也は無表情に近かったけれど、どことなく、不安そう。
「大丈夫だよ。 今度はちゃんと電源入れとくし、連絡もする」
「…ならいいけど」
「あ、ここのカギ預かっといてくれない?
向こうに持っていったら無くしそう。つーか哲に無くされそう」
2本あるうちの1本は真由が持ってて、もう1本は朔也。
これなら絶対無くなる心配は無い。と、思っていたけれど。
「あ、俺がカギ持ってるよ」
朔也の手からヒョイッとカギを取った大雅。
何かを企んでるだろう、不敵な笑み。