【完】Secret Story ‐笠井 龍輝‐


いや…、なんで急にそんな話になってんだ?


「俺には“帰れ”って言ったくせに、朔ちゃんには何も言わないじゃん。
それにさぁ、本当なら朔ちゃんがカギを持ってたわけだろ?
つまり、“初めから朔ちゃんを泊めるつもりでカギを渡した”ってことじゃん」

「あー…」


…そう言われりゃ、そうかもな…。
朔也のこと、普通に泊めるつもりで話してた。


「………」

「………」


ジッと見つめ合う俺と朔也。

朔也の視線が大雅に移ったから、俺も自然と大雅を見る。


…朔也は小さく息を吐いた後、にっこりと不気味な笑顔を浮かべた。



「…大雅。 実は俺と龍輝、いつも一緒に風呂入ってるんだ」

「はっ? え、マジで?」


「龍輝の体のことなら隅々まで知ってる」

「うわっ、お前ら怪しい怪しいと思ってたけどマジだったんだ!?」




「……いや、信じるなよ」


はぁ…、と深いため息の朔也。
その後は何事も無かったかのように携帯を開いてメールか何かをし始めた。




「え、何、嘘なの?
えー…? 朔ちゃんそういう冗談嫌いなのに自分からするわけ?」

「…嫌いだから敢えてしてみた。ら、余計嫌いになった」


「なんじゃそりゃ」


表情を変えない朔也と、頭に はてなマーク を浮かべる大雅。
その二人の距離感がなんだかおかしくって、ついつい、吹き出すように笑ってしまった。

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