【完】Secret Story ‐笠井 龍輝‐
「健吾と優、元気でやってる?」
「うん。相変わらず仲良くやってる。
この前、健吾が“龍輝と連絡が取れない!!”って俺に泣きついてきた」
「あー…俺いっつも相談乗ってたからな。 んで?それからどうなった?」
「龍輝のことは適当に言っといた。
今は俺が毎日のろけと相談のメールを受けてる」
「あ、やっぱり。
アイツの話、長いから大変だろ?」
と笑う俺を見て、朔也は僅かに笑みを浮かべた。
「俺は、人の話を聞くのが好きだから。
幸せそうに喋ってる健吾を見てるのは、苦じゃないよ」
パタン、と携帯を閉じ、髪の毛をかき上げる朔也。
「…幸せそうな二人を見てると、俺自身幸せな気分になる」
……その言葉は、健吾と優に対するものだろうか?
それとも、俺と真由に対するもの?
よくはわからないけれど、朔也は俺を真っ直ぐに見て微笑む。
「俺はもう寝るよ。
龍輝もあまり遅くならないようにね」
そう言いながらひらひらと手を振り、部屋を出ていった。
“…幸せそうな二人を見てると、俺自身幸せな気分になる。”
アイツはそれで満足してるのかな?
…健吾と優を見る分には満足だろうな。
でもきっと、俺と真由を見てる時は違う。
朔也は真由が好き。だけど“俺”が居るからアイツは自分の気持ちを押し殺す。
それで満足してるわけねーよな…。
……真由のことは、すげー好きだけど。
朔也のこととか大雅のこととか…、やっぱり色々考えてしまう。