【完】Secret Story ‐笠井 龍輝‐

「あのさ、俺のどこを見て“変わらない”って言うわけ？」

「素っ頓狂なところ」


「…お前、俺のこと馬鹿にしてんだろ」

「うん」


「うん、ってハッキリ言っちゃうのかよ」


素っ頓狂って、軽く…いや、かなり酷い言い方だよな。


「…俺は俺で、結構色んなこと悩んでるんだけどね」

「知ってる。 だから“変わらないな”って」


「…は？」


朔也が、微笑む。




「他人(ひと)にはあまり自分のことを話さず、一人で悩んでる。
だけど周りのことを思い、悩んでる姿さえ見せない。
“俺は大丈夫”って笑って馬鹿みたいなこと言って、一人で解決しようとする。
お前は昔から変わらない」

「………」


「当たってるだろ？」


しれっとしながらも、俺の本心を言い当てる朔也。

…コイツ、どんだけ鋭いんだよ。




「…俺からすれば、お前の方が謎な人間だけどな？」


…動揺しながらも、“いつもと同じ”を意識してなんとか笑ってみせる。
そんな俺に、朔也はふっと小さな笑みを浮かべた。




「俺、実は忍者なんだよね」


…は？