【完】Secret Story ‐笠井 龍輝‐
「…忍者?」
「うん、だから俺自身のことは秘密。
だけど周りのことは熟知してる。 凄いでしょ?」
………。
…一体何を言ってるんだコイツは。
「朔也、お前熱でもあんのか?」
「なんでだよ」
「なんか、お前らしからぬ不思議な発言だなぁと思って」
「あー…誉め言葉として受け取っとくよ」
「いや誉めてねーし」
…マジでどうした?
大丈夫かコイツ。
「熱が無いなら、どこかに頭ぶつけたか?」
不安に思いながら、朔也の顔をまじまじと見る。
その時、朔也はまたふっと笑い、どこか遠くを見た。
「俺だってたまには冗談も言うよ」
そう言ったあとの朔也は、普段と変わらない表情に戻って髪の毛をかき上げた。
「…お前って、ほんと謎だよな」
ポツリと言ってみるけれど、朔也は相変わらず表情を変えなかった。