【完】Secret Story ‐笠井 龍輝‐


「…忍者?」

「うん、だから俺自身のことは秘密。
だけど周りのことは熟知してる。 凄いでしょ?」


………。
…一体何を言ってるんだコイツは。


「朔也、お前熱でもあんのか?」

「なんでだよ」


「なんか、お前らしからぬ不思議な発言だなぁと思って」

「あー…誉め言葉として受け取っとくよ」


「いや誉めてねーし」


…マジでどうした?
大丈夫かコイツ。


「熱が無いなら、どこかに頭ぶつけたか?」


不安に思いながら、朔也の顔をまじまじと見る。

その時、朔也はまたふっと笑い、どこか遠くを見た。




「俺だってたまには冗談も言うよ」


そう言ったあとの朔也は、普段と変わらない表情に戻って髪の毛をかき上げた。




「…お前って、ほんと謎だよな」


ポツリと言ってみるけれど、朔也は相変わらず表情を変えなかった。

< 67 / 117 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop