【完】Secret Story ‐笠井 龍輝‐
――……。
……。
出かける準備を終え、マンションを出る。
3人で真由ん家の近くまで向かい、俺と朔也は公園へ行き、大雅は真由ん家へ。
一言も喋らない俺を、大雅や朔也がどう見ていたかはわからないけれど。
それでも俺は何も言わず、妙な緊張を感じながら歩いていた。
……。
真由ん家の近くにある、少し大きな公園。
沢良木 涼太は、公園に入ってすぐの場所にある目立つベンチに座っていた。
ジリジリと焼けつくような暑さの中、ボーッと空を見上げている。
真由が来ると信じて待ってるその横顔に、少しだけ胸が痛む。
沢良木 涼太は、本気で真由を想ってるんだろうな…。
じゃなきゃこのクソ暑い中、いつ来るかもわからない女を町続けたりしないはず。
すげーな、アイツ。
クリスマスん時は酷いコト言って真由を振ったらしいけど、今はちゃんと本気なんだ。
「………」
ボーッと沢良木を見ていたけれど、朔也に促されたから木陰へと身を潜める。
距離があるから、アイツに気付かれることはない。と思う。
「…なぁ朔也」
「うん?」
「俺、真由のそばに居ていいと思う?」
…不安だったことを、つい漏らしてしまった。
それを聞いた朔也は、小さく笑う。
「俺がイエスと言ってもノーと言っても、結果を導き出せるのはお前と真由だけだよ」