【完】Secret Story ‐笠井 龍輝‐


……アイツはきっと、言うほど悪い奴じゃないんだと思う。
あんな風に笑って、あんな風に言葉をかけた奴が、悪いはずがない。


だけど真由をフッて傷つけたのは確かだし、キスしたのも確かだ。

…何がアイツを変えたんだろう?

なんて、余計なお世話、か…。




「龍輝ぃ、もう終わり?」


つまらなそうに聞いてくる大雅に、ひらひらと手を振って応える。


「…呆気ねー。俺の出番無しじゃん」


そんな風に言った大雅に朔也が何かを言い、いつもみたいに言い合いが始まる。

ギャーギャーと騒ぐ二人を見て小さく笑い、それから、真っ直ぐに真由を見た。


「…真由」


隣に来るよう、視線でそっと促す。


真由は、不安そうな顔で俺を見ている。

その横に居る大雅と朔也は顔を見合せ、真由に何かを言った後に歩き出す。


大雅は「頑張れよ!!」と言った感じで手を振り、朔也はいつもと同じ、感情の読み取れない顔で去っていった。

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