【完】Secret Story ‐笠井 龍輝‐


「離れるのなんて、無理だよな」


この先きっと、色んなことがある。
俺はそのすべてのものを、真由と一緒に乗り越えていきたい。


「…お前と離れるなんて想像出来ねーし、想像したくねーし。
俺たち絶対、離れられないよなぁ」


そう笑った時、真由は俺を凝視しながら言葉を放った。


「む、無理って、そっち…!?」

「あ?他になんかある?」


「む、無理って言葉は普通、“もう一緒に居るのは無理”とか、そっちで使いますよ!?」


あー…言われてみりゃ、そうかもな…。
思ったことをそのまま言ってしまったけれど、確かに紛らわしい言い方だったかもしれない。




「…龍輝さんって、変わってますよね…」


呆れ顔の真由に小さな笑みを浮かべ、「よく言われる」と応える。

そんな俺に、真由はますます呆れた顔をしたけれど、そのすぐあと、どこかホッとしたように微笑んだ。


「…私、龍輝さんに嫌われたんだと思いました」

「…なんで?」

「だって、涼太くんとやり直してみたらとか言うんですもん。
それに、最近連絡が取れなかったのは私と話したくないからなのかな、って」


…そういや俺、真由と久々に会ったんだった。
つーか、連絡すらしてなかったんだよな…。




「ごめんごめん、アイツと…ってのは、ちょっとしたイタズラ心」


まぁ、不安の方が大きかったけど。
でも…。


「…迷うことなく“嫌です”って言ってくれて、嬉しかった」

「……そりゃあ、龍輝さん以外の人なんて考えられませんから」

「そっか」


…真由。
俺みたいな馬鹿な奴のことを想ってくれて、ありがと。

迷うことなく答えてくれて、ありがとう。




「…誰に何を言われても、俺はコイツを愛し続ける」


…学園祭の時以上に、そう思ってるよ。

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