【完】Secret Story ‐笠井 龍輝‐
でもそれを口に出して伝えるのがなんだか恥ずかしくて、
「冗談半分で言った」なんて馬鹿なことを言ってしまった。
「そりゃ、好きっちゃ好きだけどさぁ、いつかは離れるかもなぁとは思ってた」
なんで俺、こんな風に言っちゃうかなぁ…。
こんなの本心じゃないし、真由を傷つけるってわかってんのにな…。
…俺、学園祭の時は自分の気持ちを全部言ったけど。
……今はさ、あの時以上に真由を想ってる。
いや、真由を想う気持ちはあの時から変わらないけれど、「重さ」が変わった。
スキとかアイシテルとか、そんな言葉では全部を表せない。
そのくらい、真由を想ってる。
本当は「それを伝えたい」って思ってるけど、上手く言葉が出せなかった。
だからいつものように笑い、真由の頭を撫でる。
真由はやっぱり呆れた顔してたけど、それでも俺を見て、確かに笑ってくれた。