【完】Secret Story ‐笠井 龍輝‐
「この野郎、お前こそ親を殴るなんてどういう神経してんだ」
「こんなのただのスキンシップじゃん」
「じゃあ俺のもスキンシップだな?」
「直人さんのは痛いっつーの。
俺のは優し〜く撫でるようなもんだろ?」
「じゅーっぶん痛い」
ギャーギャー騒ぎながら“スキンシップ”を続ける俺と直人さん。
そこに美奈がやって来て…、
「二人とも、いい加減にしなさい」
…と言いながら、俺たちの頭を同時にパシッと叩いた。
「まったく、直人さんってばいい歳してなに高校生と張り合ってるのよ。
龍輝も龍輝だよ? 叩かれたからっていちいちやり返さないの。
て言うか、叩かれるようなことをしなきゃいいでしょ」
「…ちょっと遊んでただけじゃん」
「 な に か 言った?」
「いえ、何も言ってません」
「何も無いならサッサとお風呂済ませちゃいなよ?」
「イエッサー」
ビシッと敬礼する俺を見て、美奈は深い深いため息をついた。
そして、「なんで私の周りの男はみんな子供っぽいんだろう…」とブツブツ言いながら台所に戻っていく。
そんな美奈を見送ったあと、直人さんと視線を合わせ、二人同時にククッと笑った。
「俺から見れば、美奈の方が子供っぽいけどなぁ」
「俺が見たってそうだよ。 見た目も性格もガキ」
「あはは」
と、笑いながら話していたら。
「…アンタたち、いい加減にしなさい。って言ったよねぇ?」
真っ黒いオーラを身にまとった美奈が、いつの間にかまた近くに来ていて、にっこりと冷たい笑顔を浮かべていた。
……その後、
俺と直人さんは正座させられ、長い長い説教を食らうこととなった。