【完】Secret Story ‐笠井 龍輝‐
『…朔也さんは、今でも私を想ってくれてる。…と、思います。
だけど私は、朔也さんの気持ちには応えられない…。
それなのに“友達”として居ていいのかな?とか…、
何も知らないフリして、朔也さんの想いから目を逸らしてココに居るのが辛いって言うか…』
…顔が見えなくても、真由が辛そうな顔してるのがわかる。
俺自身があまりいい顔をしていないから、そうわかるんだと思う。
『…龍輝さんは今の状態をどう思ってるのかな?って、気になって』
…今の状態、か…。
“正直言えば、いつ壊れるか…、いつ壊すかわからない状態のまま生きてる。”
…朔也の奴、そう言ってたっけ。
俺と真由が笑ってるのを見てるのが好き。って言ってたけど、アイツ、相当無理してるよな。
現に、不安定なアイツは俺が居ないとますます不安定になっている。
「俺が居ない間、真由を頼む」なんて、ほんと、酷いこと言っちまったな…。
「んー…」
…真由になんて言えばいいか、迷う。
つーか、真由に問われる前から色々悩んでるんだよな…。
真由と一緒に居ていいのか? 朔也と一緒に居ていいのか?
どちらかと離れるべきなんじゃないか? と、色々考えてる。
だけど…、
「…一緒に居る“今”を選んだのはアイツ自身。
だったら今のままでいい」
……結局、辿り着いた答えはそれなんだよな。
俺は真由と居る“今”を選び、アイツは俺と真由のそばに居る“今”を選んだ。
自分で決めたことに「誰か」が口出ししてきたって、俺は想いを曲げない。
アイツだって、きっとそう。
だから、結局はこのまま行くしかないんだと思う。