略奪愛の結末
「篤朗?カゼひくよ…。こんなとこで…
あ~~くっさい…お酒飲みすぎ……。」

体がすっかり冷え切っているけど
俺の顔を覗き込むマリがいた。


「鍵あいてたよ。
何回電話しても出てくんないし……。」

「う~~めっちゃ…さぶい……。」

ストーブもつけてなかった。
歯が音をたてた。

「まったく…世話がやけるんだから。」

そういうと マリはメグがするように
髪の毛をアップにして高く留めた。

「この間綺麗にしてあげたのに……。」

後ろから見てると メグに見えてくるのは
姉妹だからなのだろうか……。

「今日はね おねえちゃん彼氏とお泊りなんだって。
もう~新年早々やっちゃうんだから~~ウフフ~」

細い肩を震わせた。

鼻歌を歌いながらそこらへんを片付け始める。

「その鼻歌って…よくメグさんが歌ってる……。」

「おねえちゃんのお得意の歌なんだ。
私はこの歌聞きながらおっきくなったし~。
いい人そうだから…おねえちゃんも幸せになってほしいな。
篤朗会ったらビックリしちゃうよ~。」

「いい人って…アイツが?」

「え?」

「兄貴がいいヤツなわけないよ。」

「知ってたの?」

「今日来てたからね 実家。」

「もう挨拶に行ったの?早いわ~~。」

「昔の恋人は?不倫の・・・あの人と付き合ってんじゃないの?」

「なんか 篤朗 目が座ってるよ。
大丈夫?」

酒の力に飲み込まれていくようだった。
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