略奪愛の結末
「あの人ね 死んじゃったんだよ。
ガンだったんだって…家族に見守られて
幸せそうだったって…一人で喪服着て お祈りしてた。
あんなのみたら 絶対不倫はイヤだね~。
おねえちゃん 痛かったもん。」

「死んだ?付き合ってんじゃなかったの?」

「付き合ってんのは 卓朗さんだよ。」

「は?何で?いつから?」

「最近なのかな~よく知らないけど~。
うちにもよく来て おねえちゃんのご飯食べて帰るよ。」

怒りがこみあげてくる。

どういうつもりで?
兄貴と付き合うって言い出せなかったのか?
それで昔の男を出したのか?


「はい はい~
酔っ払いちゃんは ベットで寝なさい~。
邪魔 邪魔~~。」

マリが無防備に俺に触れる。


「マリ 悪いこと言わないからさ…帰れ。」

「何で?暇なんだもん~。
おねえちゃんいないし 遊べるじゃん。」

「今 何しでかすかわかんねーぞ。
俺 頭おかしくなってる。」

「マリが 治してあげようか?」

「俺がまともな時に出直してこい。」

「やだ。だって寂しいんだもん。
おねえちゃんがいないって初めてだから。」

ストーブが真っ赤に燃えて 俺の体も熱くなってきた。

立とうとして足元がふらついて マリが支えた。


「よっぱらい……。」

上目使いで見上げた 色っぽさがメグと重なる。

「メグ……。」
俺は 地獄の底から もう這いあがれない・・・・・。
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