略奪愛の結末
「私たちも着付してもらいにいきましょう。」

私のメイクが始まると ママが姉に言った。

「何から何までいろいろ教えていただいて
ありがとうございました。」

姉がそう言ってママに頭をさげた。

「何言ってるの。大切なお嫁さんのたった一人の
肉親なんだもの。これからは何でも頼ってくれていいのよ。
女の子ほしかったのに…できなかったから…。」

「おねえちゃんは着物?」

「うん 着物なんて初めてだもの。」

「成人式は着なかったっけ?」

「着ないわよ~そんなガラでもないし
出席もしなかったもの。」

そうだったんだ・・・・・。

「マリは振袖がウエディングドレスになったね。
一応レンタルで・・・なんて考えてたのに。」

「そうだった~でも最高よ。」

もう振袖なんて私にはどうでもいい。
こんな最高な日がやってきたんだもの。

姉たちが出て行って私は着せ替え人形のように
目立ってきたお腹をふんわりとフリルが
包んでくれるドレスに着替える。

最高の瞬間が近づいてきた。
今日この日のために 私は悪になってきたけど

この子のためにも そして篤朗のためにも
世界一の妻 そして母になる。

そして姉にも もうひどいことはしない


そう誓った。

篤朗が ドアの向こうで待っていた。
興奮して 思わず抱き着いた。

「大好き・・・・。」

篤朗は 何も言わなかった・・・・・。
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