略奪愛の結末
「私のこと 忘れてね。」

さっきと逆の言葉。

「忘れないよ。」

「さっきは 興奮しちゃって…恥ずかしい。」

いつもの清楚なメグに戻っていた。

「マリだけを愛してあげて。」

「嘘つくな。本当は違うんだろ?」

「うふふ…意地悪なこと言わないで
さっきは口がすべっちゃって……忘れて……
篤朗が悪いのよ…興奮させたから……。」

「本当のメグが最後にみられた。」

メグの目が真っ赤にうるんできた。

「もう泣かせないで……。私も立ち直るの
大変なの……自分に言い聞かせてる……。」

「送るよ。」

俺もベットから体を起こした。

「あ……ごめん!!!血が……。」

メグが俺の背中を見て悲鳴をあげた。

「大丈夫だよ。ここに爪をたてられるなんて
男冥利につきる。」

「だって…痛そうだもの ごめんなさい!!」

救急箱を出して 薬を丁寧につけてくれた。

「あんまり…気持ちよくて地獄に落ちそうで…
思わず篤朗の背中にしがみついたの……。どうしよう。」

「嬉しかった。大丈夫だよ。」

「私って淫乱女ね…すごく乱れて恥ずかしい…。」

「忘れないから メグの全部 目にも体にも
心にも 皮膚の毛穴にも メグとつながったとこ全部……。」

俺が笑うと

「バカね。」恥ずかしそうに微笑んだ。

「ありがとう…メグといて幸せだった。」

背中の焼けつくような痛みが これからの俺のすべてになる

「さよなら・・・・。送らなくていいから。
明日からは 他人同士 妹のご主人として…会いましょう。」

震える声で精一杯の笑顔で 部屋を出て行った。

俺はまた自分の失態を呪い嘆き メグのいた形跡を犬のように
確認する・・・・。

「終わったな……。」そうつぶやく。 
< 177 / 365 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop