略奪愛の結末
新郎が初夜を迎えず いつも通り部屋に戻る。

この部屋ともお別れだ

メグがコーディネートしてくれた
俺の大好きな空間だった。

マリが一切いらないと言ったから
もったいないけれど ここをそっくり
五万で買い取った同僚が使うことになった。

段ボールに積み重ねた私物

引っ越しが終わったら戻ってくることはない。

メグと愛しあったこのベットも…
メグが料理をしてくれたキッチンも


全部失ってしまうんだ。

喪失感
また泣けてきた。
後悔しても もう遅い

時計を マリを抱く一秒前に戻してくれたなら
ちゃんと理性で対応するから


そしたらマリのことも こんなに嫌いにならなかった。


かわいそうなマリ
俺のことをずっと想ってくれたのに
やり方はともあれ マリは自分の思うように
突っ走ってきただろうに


俺はそんなマリを絶対に愛せないんだ。


メグの手前 幸せにはすると言った。
でもその幸せが本当の幸せになることはない。

ただ夫婦として生活して
父親として接して

だけどここに愛はない・・・・。

鏡の前で裸になった。
体をよじって背中を見る。

メグが残した爪痕は まだ蚯蚓腫れのままだった。

この爪痕が永遠に消えないことを俺は祈っていた。
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