略奪愛の結末
篤朗とマリのことを知った時 全身から
血がなくなったような気がした。

皮膚は冷たくなって心臓が痛くなった。


だけど 篤朗に対しては怒りはなかった。
あの時 篤朗を突き放したのは私のせい。

篤朗の実家で
卓朗と訪問して 混乱させたのは私だった。

マリが篤朗をあきらめて
卓朗に気持ちを移したのかと心配だった。
こんな時に限って私は 姉になる。
適当に姉になったり 女になったりするから
マリに惑わされてしまった。


マリの気持ちは揺らぐことなく
まっすぐに篤朗を見ていたんだ。


マリはもしかしたら全部わかっていたんだろうか。
今回のことはすべて
マリのいいように回っている気がする。
私も篤朗も卓朗も 
利用されただけなのか。


屈託のない笑顔のマリに芽生える不信感


「もうすぐだもの。」
そう・・・・・


もうすぐ マリはここを出ていく。


私は私の幸せを……
明りすら見えないけれど
考えなければいけない。

だけど・・・・・


幸せそうなマリを見ていると辛くなる。
そして……許せなくなる。

最後に…最後だから


私は何度も言い聞かせて篤朗にメールした。

明日 篤朗のとこへ行くから


お腹の子に声をかけている マリの後ろ姿に
 
いいよね
ちゃんとさよなら言わないと 歩き出せないんだ私・・・。

篤朗と二人で会うのはこれが最後だから…
姉として 可愛い妹のことをお願いに行って
女として 愛する男に別れを告げてくるから

そしたら 私も新しい人生を考えられそうだった。

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