略奪愛の結末
だけどそんなこと言えるはずもなかった。
篤朗に

マリをよろしくって言って部屋を出る。

そう言ってここを出ないと
私は情けなくしがみついて 篤朗が死のうって言ったなら
本当に死んでしまうかもしれない。

本当の心は誰にも知られてはいけない。


妹想いの優しいおねえちゃん

私はその隠れ蓑の中でこれからも生きていくんだろう。


マリの引っ越し用意と一緒に自分の引っ越しの用意を始めた。
マリに気づかれないように……。

ここにいてマリに一番近い人間として
篤朗と会うのは辛すぎる。

私は逃げる……。
それが三人にとって一番いいことだから。


マリに貯めていた貯金通帳を渡して
遠回しにこれからは 一人で生きていくように言った。

篤朗も 優しいご両親もついているから
私がいなくなってもマリは大丈夫だろう。
何よりも 二人によく似た赤ちゃんを見てお祝いを言うのは
私にとっては何よりも辛いことな気がした。

赤ちゃんさえできなかったら

もしかしたら 別れなくてもよかったかもしれない。

ウエディングドレスを着るはずだったかもしれない私は
親族用の色留袖を着る。

「メグちゃん 似合うわ。」篤朗の母。

「そうですか?」
似合ってなんかいないんですよ・・・。
私はドレスを着たかったんです。

今日は二人が神の前で永遠の愛を誓う日・・・・。
篤朗の元から爪痕だけ残して
私は逃げる……。

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