略奪愛の結末
篤朗とお揃いのパジャマを買った。

お腹が大きいからちょっとゆったりめ
色違いのペア

嬉しかった。

篤朗がお風呂からあがる気配に
パジャマをもって静かに ドアを開ける。

腰にバスタオルを巻いた 篤朗が立っていた。


ドキン 胸がキュンとした。

私は女なのに 異常なのかな・・・・。
こんなに篤朗にキュンキュンしてる
男だったら 絶対押し倒す。

その時だった 後ろ側に向いた背中に
真っ赤な線が何本も見えた。


何?


爪の痕?

背中の中央から横に綺麗に並んでいる。

篤朗の背中に幻のように 女の手が見えて
それが爪を立てて 篤朗の肌を裂いていく。



おねえちゃん?


私はその爪痕が 姉のものだと直感した。

篤朗は鏡越しにその 爪痕をしばらく眺めていた。
悲しそうな表情で


「メグ……どこにいるんだ。」と呟いた。

強烈な嫉妬・・・・・。
篤朗を縛り付ける 爪痕が


篤朗は私を愛してるのよ

いつも優しい笑顔の姉が 女の顔をして私を
バカにしたように笑っている。

「ふざけるな・・・・卑怯者・・・・。」

悔しくて 拳を握りしめる。

その時お腹が ポコッって動いた。

「あ・・・・・。」

そうだった 私にはこの子がいる・・・・・。
爪の痕なんていつか薄くなって消えるだろう・・・・。

そう 篤朗はきっと 姉を忘れるから・・・・。


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