略奪愛の結末
「オギャーオギャー!!!」

大きな元気な産声が響き渡った。
それと同時に 嘘のように痛みも苦しみからも解放され
ただ押し寄せたのは 心地よい疲労感。

黒々とした丸い頭と命の重みが
私の胸の上で感じる。

「元気一杯な 男の子 いいお産だったね。」

女医の声に 涙があふれる。

助産師さんが私の乳首を赤ちゃんに含ませると

「アフアフ」って言いながら強く吸い付いた。

「男の子……。」
私は 今までずっと強い味方でいてくれた
その命の重みを泣きながら抱きしめた。

「ありがとう……。キミがいたから頑張れた……。」

感動だった。

運命をひっくり返して
今の
現実を運命に変えてくれた我が子がここにいた。

「おとうさんも抱いてあげてください。」

私は涙で曇る目で 篤朗を見上げると
篤朗は緊張した顔で 元気に泣く赤ちゃんを
助産師さんから受け取った。

「うわ…けっこう重い……。」

「おとうさんとおかあさんの愛の結晶だものね。
命の重みしっかりと胸に刻んで
この子のためにも いい家庭を築いていって。
この感動を忘れなかったら
この子は絶対に幸せになるから。」

先生・・・・ありがとう


すっごくいいこと言ってくれて・・・・・。

先生は私が妊娠してるのに なかなか結婚しないことを
とても心配してくれてたから

「若いママだからって甘えは許されないよ。」

「はい。私の宝物です。」
こらえきれずに嗚咽になった。

私 こんなに幸せでいいのかなって・・・・・。
< 209 / 365 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop