略奪愛の結末
幸せにする過酷さ
ずっとずっと この時を想像して悩み続けていた。

マリを抱くのは夫としてはあたりまえのことで
それが夫婦の営みで・・・・・。

ただ俺の心の中に住む 人を忘れられない以上
マリを抱くのは 失礼なことだと思っていた。


だけど 今 うまく濁したところで
次はもう 拒むことはできない。

「幸せにしてあげて。」


今さらながらその言葉は 俺に対しての
罪の償いだったんだと思った。

まったく別物と考えればいい

俺は何度もそう思った。


だけどマリも大切な存在であることは確かで
俺の心はここにないと気付いているだろうけど
健気に俺を求めてくる。


そして俺によく似た飛勇の母でもある。

「抱いて……。女からこんなこと言わせて
篤朗はいつまで意地悪するの。」

マリの息が耳にかかって 全身に鳥肌が立った。


俺はマリを愛してないよ。


そう言ったらきっと マリは悲しむだろう。
俺の子供を必死に痛みに耐えて 産んでくれた。
飛勇はあの 過ちの子だけど
自分によく似た飛勇を愛し始めていた。


だけどマリ
俺はきっと これから先もマリを愛することはない。

マリの手でパジャマの前がはだけた。

「愛してるの……切なくてもう死んじゃいそう…。」

マリの声は切なく甘く……

「抱いて・・・・・。」

マリは俺を強く抱きしめた。
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