略奪愛の結末
マリの熱い唇が俺の冷えた体に熱を与える。

「篤朗…愛してる…。」

いつもそう言いながら
背中に残った爪痕を唇で這う。

一本ずつ 唇と舌で ふきとるように……。

その行為がマリにとってどういう気持ちなのかは
いつも想像するだけで言及はしない。

ただ
「愛してる…。」そう言いながら背中を執拗に愛する。

俺はその時間を黙って耐えていた。


「ちゃんと禁酒して お母さんの体作りするの。
だから二か月後からは避妊なしで……アン……」


甘い喘ぎ声が部屋に充満する。

飛勇は疲れもあってぐっすりだった。


マリの喘ぎ声はさらに力を増す。
俺の触れるところはすべて神経がいきわたっているのか
可愛いくらいに反応する……。

「ンン……篤朗…あ!!!」

自分の喘ぎ声に慌てて手で口を押える。
その手を俺は 口から離すと辛そうに声を押し殺した。

「辛い?」

「ウン……だって気持ちよくて……篤朗いっつも
意地悪なんだもん……。」

俺の意地悪はこんなことでしか発揮できずにいる。
マリの中で メグはどんな存在になっているのか。


俺との幸せごっこでマリは満足してるのだろうか

マリが快感に苦しそうに身をよじる姿に興奮する俺。


もっともっと…苦しめ……
そう思いながら声を押し殺すマリを見ながら楽しんでいる。

そしてメグを想いながら
最後の瞬間をむかえる。

メグと心の中で叫びながら……


最低な人間だなって あざ笑いながら・・・・
それでも幸せごっこは続いていく。

メグの涙の上になりたった
この家族ごっこを 俺は壊すことができなくなる。
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