略奪愛の結末
「何だか あっけなく出かけちゃって
飛勇ったら・・・少しは不安な顔してほしいわ。」

仕事から帰ってきた俺に そうつぶやいた。

「見込みあるじゃん。独立心旺盛でいい。
飛勇は逞しく育ってほしくて 名前の通りだな。」

「うふふ…そうね。
それにこうやって 二人っきりなんだもの。」


心の底で ため息をついた。
飛勇がいない間を想像して 一瞬で疲れたけど


「お手柔らかに頼むわ。仕事も忙しいからさ。」

「いやだ~何言ってんの~。」

マリが慌てたように俺のスーツを脱がした。


「あ そうだ 
明日でもさ 待ち合わせして食事でもしようよ。
美味しい店があるんだ。帰りは久々のカラオケとか。」

「デート?やった~~!!」

少しでも二人っきりの時間は少ない方がいい。


俺はまだ二人目の妊娠には 躊躇している。
これ以上縛られたら 自信がない。


ここにメグを大切にしまっておく
余裕もなくなる気がして怖かった。


マリがいつものように甘えてきた。

「二人っきりって結構いいね。」

「そうだな。でも今夜は片づけたい仕事があるから
ちょっと仕事してから寝る。」

「え~~」マリのブーイング


「ごめんごめん…明日の会議に必要な書類なんだ。
その代り明日のデートで埋め合わせするよ。」

マリはニッコリ微笑んだ。
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