略奪愛の結末
久しぶりにオシャレをした。
美容室に行って 軽くパーマをかけた。
いつも 飛勇といるとひっつめている髪の毛が
今日は肩のあたりでふわふわとしてる。

時間まで街を歩いた。

鏡に映る自分がビックリするほど幸せそう。

鏡に近づいて 心に問う。

「マリ 幸せ?」

「うん すっごく幸せ。
昨日はねずっと腕枕だった。篤朗の腕枕。」

「よかったね。昨日の篤朗は優しかったから。」

「うん やっぱ飛勇がいると
男と女でいられなくなるものなのね。
私は心配してたんだ。篤朗が幸せじゃないのかなって。」

「幸せだよ 絶対。
篤朗はもうマリだけのものだよ。大丈夫自信をもって。」

「願わくば あの背中の傷だけ早く消えてくれないかな。
あの痕を見るとおねえちゃんを思い出すの。
篤朗に抱かれて女になっているおねえちゃんは
どんな顔してどんな声をあげて…篤朗にどんなふうに愛されて
あの爪痕を残したんだろって……。」


そう篤朗の背中に残る 姉の爪の痕は
予想以上に私の心をかき乱す。


背中が目に入ると私は傷痕を唇と舌で
なぞり その傷痕を消毒する。


篤朗は私だけのものだからね


姉にそう言い聞かせる。
どうしてもそうしないと不安になるんだ。
だからもう…消えて欲しい。


篤朗の心に住む姉も 篤朗の背中に巻きつく手も
そして姉自身も・・・・・。


悪い妹だよね。
でも幸せでいたいんだもの。
姉がこの世にいる限り……私には不安がまとわりつくんだ。
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