略奪愛の結末
勤務先の近くの
待ち合わせ場所に現れた篤朗は 素敵だった。
背が高くてスタイルがいい篤朗は
家で見るより百倍素敵で また更に惚れた。

「逸見主任。」

私のところにつく前に 女性二人から声をかけられた。

「昨日まで 旅行に行ってたもので
これおみやげです~。」

そう言うと 頭をさげてキャーキャー言いながら
私の横を走り去る。


「めっちゃカッコイイ~。」
二人の声が聞こえる。


篤朗には見えない敵がたくさんいるんだなって思った。

「待ったか。」

「ううん。おみやげもらったんだ。」

「ハワイって言ってたよ。うらやましいな~。」

私は篤朗の腕に手をまわした。

篤朗は 私のものだからね


そう大声で叫びたい気分。


「美容室行ったんだ?」

「うん。どう?」

「いいじゃん 似合うじゃん。」

「うふふ~うれしい。」

篤朗の腕に頭をくっつける。


前は二人の間にある距離に傷ついたこともあるけど
飛勇が大きくなって
お互いの大切なものが共通なこともあって
家族としての絆が深まったように感じる。


ただ・・・・
女としては違った。


もっともっと愛してほしい。
姉に負けないくらい…私もその背中に
新しい爪痕を 夢中になって刻み付けたいのに


ここには絶対踏み込ませない

篤朗がそう言ってる気がする。

家族として飛勇の母としてではなくて
一人の女として愛して欲しいのに・・・・。

いつまでたってもその距離だけは縮まらない。
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