略奪愛の結末
楽しそうに笑う飛勇の写真。

自然に囲まれた風景の中で
元気な飛勇がアルバムの中で笑っている。

「飛勇は幸せな子だね。みんなに愛されて。
こんなママから こんないい子が生まれてきて……
何だかもったいないな。」


ツアーの中でも人気者だったという飛勇

おかしをたくさんもらったとか
一緒に写真をとってあげたとか
いい子いい子ってたくさんほめられたとか

今回の旅行では 子供心に大変気をよくした様子。


その中に一枚だけドアップの飛勇が
爆笑顔でうつっていた。


「可愛い~~いい表情だね~~。」

ただ不自然なのは誰かとなりにいる様子
明らかに飛勇だけを編集した感じだった。


普段なら気にとめないのに気になった。

飛勇が帰ってきて お弁当を一緒に食べながら
アルバムを見た。

「ママ もう食べないの?」

「うん 飛勇が食べて。大きくなるから。」

「うん!!大きくなって選手になるんだもん~。」

パクパクと好き嫌いしない飛勇を見ながら
幸せな気分になる。

「あ~~これ 飛勇すっごく笑ってるね。」

飛勇も自分が大きく写ってる写真を見て
指をさした。

「これ何がおかしかったの?」

「これ 卓朗おじちゃんがおばちゃんたちに
怒られたんだ~おもしろかったよ。」

飛勇が思いだしたように笑った。
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