略奪愛の結末
「あれ・・・おばちゃん写ってないや。」

「誰かと一緒に撮ったんでしょ。」

不自然に切られている肩を見た。

「うん そのおばちゃんがすごい美人だって
おじちゃんが騒ぎながら写真撮ってね
真紀おばちゃんに怒られたんだよ。
すっごくおもしろかった~。」

「美人のおばちゃんがいたの?」

「うん ツアーの人だよ。
すぐ仲良しになって一緒にいたんだよ。
飛勇のバスの席がいっつも隣だった。」

「見たかったな~美人なんでしょ。」

「美人って言ってたよ。
飛勇にはわかんないけど おばちゃんだから。
でもすごく優しくて
ママのこと大切にしなさいって言われたよ。」

「そうなんだ。」


「そのおばちゃんがずっといい子いい子って
褒めてくれた。」

「よかったね~飛勇は本当にいい子だもんね。
ママも大好きだよ。ママの子に生まれてくれて
本当にうれしいよ。」

逞しくなる飛勇を抱きしめる。

「飛勇もママが大好き
だから大切にするんだ。」


「よし たくさん食べてサッカー行こうか。」

「うん 今日もゴール決める!!」

こんな悪魔のような私から天使が生まれてくれたこと
神様に感謝しなくちゃ。
飛勇を使って 篤朗を奪った。
自分のものにするために……。

もし飛勇がいなかったら 私は篤朗を
手に入れることはできなかった。

贅沢すぎる幸せを今さらながら感じた昼さがりだった。
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