略奪愛の結末
「マリちゃん!!」

篤朗の実家からの帰り道 真紀に声をかけられた。
変な緊張感 真紀は私の心の中を
見透かしている気がして 落ち着かない。

「旅行の写真見た?」

「うん。ありがとう。
飛勇の写真 たくさん撮ってくれて。」

「飛勇は とってもいい子で人気だったの。
多分他の旅行者の写真にも写ってるわ。
知らないところで飛勇が思い出になってくれてるわ。」

「一枚 飛勇の大笑い写真があって
思わず笑っちゃった。隣に写ってた人がいたって。」

「ああ そうなの。
同じツアーの人で飛勇が可愛いって絶賛で
飛勇もなついたから移動先のバスも一緒に座ってたの。」

「すごい美人で 卓ちゃんがうるさいから
真紀さんに叱られてたのがおもしろかったって?」

「いや~~飛勇ったら~~~
もうアイツってそういうやつなの。昔から。
だけど前は自由人だったけど 今は私のものでしょ?
お仕置きしてやったの。」

真紀は思い出してケラケラと笑った。

「楽しかったみたいでありがとう。」

「ね?マリちゃん ダイエットしてる?」


真紀の目が厳しくなった。

「あ ううん。最近ちょっと食べられなくて…
それでなくても女らしくないのに…
悩んでるとこなの。」

「まぁ スレンダーなのはうらやましいけど
食べられないって普通じゃないよ。
病院行った?」

「行こうと思っているんだけど…
胃カメラが怖いんだもん。パパが苦しいって
言ってたから…。」

私は蛇に睨まれた蛙のようになっていた。
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