略奪愛の結末
「多分 その話だと思うな。メグは
こっそりこっちに戻ってくることになってる。」

「マジで?」

「もちろん ここからは遠いとこらしいけどさ。
なるべくマリに会わないようにしたいって。
マリちゃんのことすごく大切にしてきたけど
多分いろいろ複雑なことがあるのかな。
マリちゃんも 会いたいとかどこにいるとか
一切言わないからさ…。」

「こっちに戻ってくるんだ。」胸が熱くなった。

「向こうで働いてた店が こっちに出店することになって
メグが店長として任されたんだって。
多分 そんな話だと思うよ。
マリちゃんにうちに来ること言うなって言うくらいだから。」


「変わりなかったか?」
声が震えた。

「いや~すごく綺麗になっていた。
都会で洗礼されたって言うか やっと自分のことに
気を使えるようになって 美しさが増したって感じさ。」

「そうなんだ。」

一人だったら声をあげて泣くところだった。
必死に飲み込む。

「飛勇も誰に似たんだか メグにベッタリだった。
ガキってずるいな~って言ってやったし。」

「飛勇にも会ったんだ。」


「お前にそっくりだって笑ってた。」

メグが……メグがやっと帰ってくる……。

「とにかくこの話は マリちゃんには言うなよ。
おまえは夫だからさ 姉妹の根深いものを
取り除いてやる義務がある。」

根深いもの……
その根がしまっていた宝箱から這い出て
どんどん大きくなってくるのがわかった。
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