略奪愛の結末
真紀が口にした話は　メグとの再会の予感を
吹っ飛ばすくらいの重大な話だった。

おちゃらけていた兄貴も

「何で・・・・何で・・・・。」と絶句した。


俺の頭はさらに　真っ白になった。

「若い人は進行が速いのよ……。
私もそうじゃないことを祈りたかったわ。」

「手術したら…悪いところをとれば
治るんだよね。だって　マリはまだ…三十にもなってない…。」


俺は混乱しきっていた。

「胃がんなら早期発見で助かる人がたくさんいるけど…
マリちゃんのは　手が悪いの。
進行がん　スキルス性胃がんは　早期発見が難しくて…。」

真紀の口から出たのは
マリの病気がどんなに難しい病気かということだった。

「手術だって放射線だってあるだろ？」

「そこらへんは　主治医に聞いて。
私はそれを先に　篤朗に話たのは　マリちゃんを
これから支えていく強い心が　あなたに必要だということ
覚悟してマリちゃんと闘ってほしいの。」


メグとの再会を夢見て　うかれていた天国から
またいきなり地獄に落とされた。

「マジかよ……。飛勇だってまだ小さいんだ…。
大丈夫だよね　真紀さん。
マリは　治るだろ？」

真紀は悲しい顔をして俺を見る。


「支えるって……俺にできんのか……。
最低な男だよ。今さっきまで　メグに会えるって
心躍らせた…最低な人間だよ。
まだ俺は……こんなに幸せな家庭を持ってても
メグを忘れられないんだ…。」


頭を抱えて自分を罵った。

「俺のせいだ。俺が……俺が……。」

マリが苦しそうにしていたことを思い出した。

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